
「朝起きて一番にスマホを確認し、いいねの数が増えていないと胃がキリキリする…」
「社内からは『ただスマホをいじっているだけ』と思われている気がして、孤独を感じる」
企業のInstagram運用を任されている担当者の方から、このような悲痛な叫びを耳にすることは一度や二度ではありません。華やかに見えるSNS運用の裏側は、地味な作業の連続と、常に数字に追われるプレッシャーとの戦いです。特に、社内に理解者が少ない「内製化チーム」の場合、担当者が一人で全てを抱え込み、気づかないうちに心が折れてしまう「バーンアウト(燃え尽き症候群)」のリスクが非常に高いのが現状です。
私はこれまで、多くの企業のSNSチーム立ち上げに関わってきましたが、成功するチームと失敗するチームの違いは、ツールやノウハウ以前に「担当者のメンタルケアと正当な評価制度」が整っているかどうかにありました。
ここでは、最前線で戦う担当者の方々、そしてそのマネジメントを行う上司の方々に向けて、SNS運用という仕事を持続可能でやりがいのあるものにするための具体的な処方箋をお渡しします。数字に振り回されず、健全な心でブランドを育てるためのヒントを見つけていきましょう。
目次
Instagram運用において、最も分かりやすく、それゆえに最も担当者を苦しめるのが「いいね数」や「フォロワー数」といった目に見える数字です。投稿直後から秒単位で変動するこれらの数字は、まるで自分の通知表のように感じられ、承認欲求と自己否定の間で感情を激しく揺さぶります。
しかし、ここで断言させてください。「いいねの数」は、必ずしも「ビジネスの貢献度」とイコールではありません。
数字の呪縛から解き放たれるには
以前、あるアパレルブランドの担当者Aさんが相談に来られました。「最近いいねが減っていて、もう何を投稿すればいいか分からないんです」と、彼女は涙ながらに語りました。彼女のアカウントを分析してみると、確かに「映える」画像の投稿に対するいいね数は以前より減っていましたが、一方で「保存数」や「ウェブサイトへのクリック数」は着実に増えていたのです。
これは、フォロワーの質が変わったことを意味していました。ただなんとなく写真を眺める層から、本気で購入を検討している層へとシフトしていたのです。Aさんは「いいね」という一つの指標に囚われるあまり、本当の成果(売上への貢献)が見えなくなっていたのです。
SNS運用では、目的(KGI)によって見るべき指標(KPI)は全く異なります。全ての数字を追いかける必要はありません。以下に、運用フェーズごとに重視すべき指標を整理しました。これを見るだけで、無駄な一喜一憂を減らすことができます。
アルゴリズムは「天気」のようなもの
もう一つ、担当者の心を軽くするために伝えていることがあります。それは「アルゴリズムの変動は天気のようなもの」という考え方です。Instagramのアルゴリズムは頻繁にアップデートされ、昨日まで伸びていた投稿が急に伸びなくなることは日常茶飯事です。
雨が降った時に「私の努力が足りないから雨が降ったんだ」と自分を責める人はいませんよね。同じように、急にリーチが落ちても「あ、今日は気圧が低いな(アルゴリズムが変わったな)」程度に受け流し、傘をさす(対策を考える)準備をすればいいのです。全ての変動を自分の責任だと抱え込まないことが、長く続けるための秘訣です。
「明日の投稿、何にしよう…」
夕方のオフィスで、PC画面を前にフリーズしてしまう時間は、担当者にとって最も辛い時間の一つです。SNS運用は「マラソン」に例えられますが、ゴールが見えない分、マラソンよりも過酷かもしれません。特に内製化チームでよくあるのが、担当者がたった一人、あるいは少人数で孤立無援の状態に置かれているケースです。
「何かいい感じにしといて」という丸投げ
多くの企業で起きている悲劇。それは、他部署からの「非協力」です。
「SNS担当なんだから、ネタくらい自分で考えられるでしょ?」「新商品の写真? まだ手元にないから、いい感じのフリー素材で作っておいて」といった言葉が、担当者のモチベーションを削り取っていきます。
SNSは企業の「顔」であり、広報活動です。本来であれば、開発部、営業部、人事部など、全社が一丸となって取り組むべきプロジェクトのはずです。担当者一人の脳みそから出てくるアイデアには限界があります。ネタ切れは能力不足ではなく、「情報の供給ライン」が遮断されている構造的な問題なのです。
「孤独」を解消する巻き込み力
では、どうすればこの状況を打破できるのでしょうか。私が推奨しているのは、「ネタ出し会議」という名前の「雑談タイム」を設けることです。
堅苦しい企画会議にしてしまうと、他部署の人は「面倒な仕事を押し付けられる」と警戒してしまいます。そうではなく、「最近のお客様、どんなことに困ってるって言ってた?」「今度出る新商品、開発担当者のこだわりのポイントってどこ?」といった軽いヒアリングの時間を、ランチタイムや休憩ついでに設けるのです。
ネタ切れを防ぐための「社内巻き込み」アクション
● 営業担当に「お客様からよく聞かれる質問ベスト3」を聞いて投稿にする(Q&A投稿)
● 社員のデスク周りやカバンの中身を取材させてもらう(親近感アップ)
● 「投稿作成テンプレート」を作り、写真と文字を入れるだけの状態にして工数を下げる
● UGC(ユーザー投稿)のリポスト許可を取り、コンテンツとして活用する
特に「UGCの活用」は、担当者の負担を減らすと同時に、ユーザーとの信頼関係も構築できる一石二鳥の施策です。全部自分で作ろうとせず、周りの力、そしてお客様の力も借りながら運用するスタイルへと切り替えていきましょう。

「SNS担当って、一日中スマホ見てるだけで楽そうでいいよね」
もしあなたが上司の立場で、部下にこんな言葉をかけたことがあるなら、今すぐ撤回してください。これはSNS担当者にとって、最も心を折る言葉です。外から見ると「キラキラした写真をアップしているだけ」に見えるかもしれませんが、その背後には膨大な「見えない業務」が存在しています。
氷山の一角しか見えていない問題
SNS運用の業務は「投稿すること」だけではありません。投稿一つを作るために、企画、撮影場所の選定、小道具の準備、撮影、画像編集、キャプション作成、ハッシュタグ選定…という工程が必要です。さらに投稿後も、コメントへの返信、DM対応、数値分析、競合調査、トレンドのリサーチと、やるべきことは無限にあります。
しかし、評価する側(上司や人事)には、最終的なアウトプットである「投稿」しか見えていません。この認識のギャップが、「こんなに頑張っているのに評価されない」という不満を生み、離職やモチベーション低下に繋がります。
業務の「棚卸し」と「工数換算」
担当者が正当な評価を勝ち取るためには、自分の仕事を「見える化」して突きつける必要があります。「頑張りました」という感情論ではなく、「これだけの時間がかかっています」という事実ベースで交渉するのです。
以下に、一般的なインスタグラム運用担当者の業務を洗い出しました。これを参考に、自分の業務リストを作成し、上司に提出してみてください。「えっ、こんなことまでやっていたの?」と驚かれるはずです。
これらの業務を全て一人でこなしていれば、他の業務(例えば通常の営業事務など)と兼務するのは物理的に不可能です。専任にするか、あるいは一部を外注するか。このリストをもとに、現実的なリソース配分を上司と相談することが、自分を守るための第一歩です。
担当者が評価されないもう一つの理由は、「何が成果なのか」が社内に伝わっていないことです。経営層や他部署の人は、インスタグラムの「保存数」が何を意味するのか、なぜ重要なのかを理解していません。彼らにとっての共通言語は「売上」や「利益」だからです。
だからこそ、担当者は「SNS語」を「社内共通語(ビジネス語)」に翻訳して伝えるスキルが求められます。
「数字」と「定性」のサンドイッチ報告
月次レポートを提出する際、ただフォロワー数の推移グラフを貼るだけでは不十分です。上司が見たいのは「で、それがどう会社の利益になったの?」という点です。
私がおすすめしているのは、定量的な成果(数字)と定性的な成果(お客様の声)をセットで報告する「サンドイッチ報告」です。
例えば、「今月はフォロワーが100人増えました」だけでなく、「ストーリーズで新商品のアンケートをとったところ、〇〇という機能に期待が集まっていることが分かりました。これは次の商品開発のヒントになります」と付け加えるのです。
また、実際にインスタ経由で購入してくれたお客様のコメントや、DMで届いた感謝のメッセージをスクリーンショットで共有するのも効果絶大です。数字には興味がない上司でも、「生のお客様の声」には敏感に反応します。「インスタをやっているおかげで、こんなに熱心なファンが増えているんだ」と実感させることで、チームの存在意義を社内に認めさせることができます。
上司を納得させるレポートの構成案
● 【結論】今月のハイライト(良かった点、悪かった点を3行で)
● 【貢献】SNS経由のサイト遷移数、クーポン利用数などの「ビジネス貢献数値」
● 【発見】ユーザーの反応から得られた「気づき」(商品改善のヒントなど)
● 【感動】ユーザーからの嬉しいコメント、UGCの紹介(感情に訴える)
参考ページ:内製化で差がつくインスタ運用の裏側とは
SNS運用において、最も神経をすり減らすのが「炎上リスク」への対応です。
「この表現は差別的に受け取られないか?」「背景に写り込んでいるものは大丈夫か?」
担当者は投稿ボタンを押す直前まで、あらゆるリスクを想像し、チェックしています。しかし、この「守りの業務」は、何も起きないことが成果であるため、評価されにくいというジレンマがあります。サッカーで言えば、ゴールを決めるストライカーばかりが賞賛され、失点を防いだディフェンダーやキーパーが注目されないのと同じです。
「無事故」であることの価値
企業アカウントが一度炎上すれば、ブランドイメージは失墜し、その損害額は計り知れません。それを未然に防いでいる担当者の危機管理能力は、もっと高く評価されるべきです。
マネージャー層にお伝えしたいのは、加点法(フォロワーが増えた、バズった)だけでなく、減点を防いだことへの評価軸を持ってほしいということです。「今月もトラブルなく運用してくれてありがとう」「あのコメントへの対応、冷静で素晴らしかったよ」という一言があるだけで、担当者は「自分の苦労が見てもらえている」と救われる思いがします。
また、担当者が安心して運用できるように、「万が一炎上した時の対応マニュアル」や「責任の所在(最終的な承認者は上司であること)」を明確にしておくことも重要です。「何かあったら全責任はお前だ」というプレッシャーの中では、誰も挑戦的なクリエイティブを生み出すことはできません。守られている安心感があって初めて、攻めの運用が可能になるのです。

「このストーリーズ1つ上げるのに、なぜ部長と役員の承認が必要なんですか?」
SNS運用の現場で頻繁に目にするのが、過剰な承認フローによる機会損失と担当者の疲弊です。Instagram、特にストーリーズは「リアルタイム性」が命です。「今、外は急な雨ですね」という共感投稿や、トレンドの話題に触れる投稿をしたいのに、上司の確認が降りる頃には翌日になっている…なんて笑えない話が実際に起きています。
担当者がバーンアウトしてしまう大きな要因の一つに、「自分の判断で動けない無力感」があります。責任感が強い担当者ほど、スピーディーに動きたいのに組織の壁に阻まれることへのストレスを感じやすいものです。
マイクロマネジメントはSNSの敵
もしあなたが管理職の立場にあるなら、SNS運用に関してはマイクロマネジメント(細かすぎる管理)を捨ててください。「写真のアングルはこっちの方がいい」「絵文字はこれじゃない方がいい」といった個人の好みに基づく修正指示は、担当者のやる気を削ぐだけでなく、アカウントの統一感(トンマナ)を崩す原因にもなります。
成功している内製化チームの共通点は、「ガイドラインを決めて、その枠内では自由にさせる」という運用スタイルです。「絶対にやってはいけないこと(NG事項)」だけを明確にし、それ以外は担当者のセンスと判断に任せる。この「任されている」という感覚こそが、担当者の責任感と創造性を育みます。
承認フローの簡略化と権限委譲
具体的に、どのような体制に移行すべきか。私が推奨しているのは、投稿タイプごとに承認レベルを変える「ハイブリッド型」のフローです。
このようにメリハリをつけることで、担当者は「日常のコミュニケーション」をストレスなく行えるようになります。信頼して任せることは、何よりのモチベーションアップにつながります。
関連記事はこちら:売上につながるインスタ内製化の実践ノウハウ
SNS運用は「アウトプット」の連続です。毎日毎日、新しいネタを考え、文章を書き、画像を作る。このサイクルを繰り返していると、担当者の脳内にある「引き出し」はあっという間に空っぽになります。
枯渇した状態で無理やりひねり出した投稿は、熱量が低く、ユーザーの心にも響きません。そして何より、担当者自身が仕事を楽しめなくなってしまいます。クリエイティビティを維持するために絶対に必要なもの、それが「良質なインプットの時間」です。
「スマホを見ること」も立派な仕事
社内でスマホを見ていると「遊んでいる」と思われる風潮はありませんか? これが担当者を追い詰めます。「競合他社がどんな投稿をしているか」「今、世の中で何が流行っているか(トレンド)」を知らずして、良い企画など生まれるはずがありません。
インスタグラムの運用担当者にとって、TikTokで流行の音源を探すことや、ピンタレストでデザインの参考を探すことは、営業担当者がニュースをチェックするのと同じ「市場調査」です。まずはチーム内で「インプットタイム」を業務として公式に認め、堂々とスマホを見られる環境を作りましょう。
オフィスの外に出る重要性
画面の中だけでなく、リアルの世界から刺激を受けることも重要です。ずっとデスクに座ってPCと向き合っていても、季節感のある投稿や、生活者の感覚に寄り添った言葉は出てきません。
例えば、私の支援先のある企業では、「月1回のインプット半休」という制度を導入しました。これは、美術館に行く、話題のカフェに行く、競合店を視察するなど、「感性を磨くため」なら何をしても良いという時間です。この制度を導入してから、担当者の投稿写真のクオリティが上がり、キャプションの言葉選びも豊かになったという実例があります。
チームで取り組むインプット習慣
● 週に1回、気になった他社事例をシェアする「トレンド共有会」を行う
● 雑誌や書籍を経費で購入し、アイデアの種としてストックする
● 他部署の人をゲストに呼び、異なる視点からの意見をもらう
● 「アイデアノート」を作り、思いついたネタを書き留める時間を業務に組み込む
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ここまで、SNS運用の辛さや対策についてお話ししてきましたが、もちろん辛いことばかりではありません。内製化で自ら運用するからこそ味わえる、格別の「やりがい」や「喜び」があります。
バーンアウトを防ぐためには、ネガティブな要素を取り除くだけでなく、ポジティブな側面に目を向け、それをチーム全体で分かち合うことが大切です。
お客様と「直接」つながれる感動
メーカーやBtoB企業の場合、普段の業務でお客様(エンドユーザー)の顔を見る機会は意外と少ないものです。しかしInstagramでは、お客様の反応がダイレクトに届きます。
「この商品のおかげで生活が変わりました」「いつも投稿を楽しみにしています」
そんな温かいコメントやDMが届いた瞬間、それまでの地味な作業の疲れが一気に吹き飛びます。この感動は、代理店に任せていては決して味わえないものです。私はいつも、担当者の方に「嬉しいDMが来たら、スクショして全社員が見るチャットに流しましょう!」と提案しています。自分の仕事が誰かの役に立っているという実感こそが、最強のエネルギー源になるからです。
ブランドを「育てる」当事者意識
内製化チームのメンバーは、単なる広報担当ではなく、ブランドの「親」のような存在になれます。
自分たちが発信した世界観に共感してファンが集まり、そのファンとの対話を通じて、商品やサービスがより良くなっていく。このプロセスを最前線でリードできるのは、SNS担当者だけの特権です。
実際に、Instagramのフォロワーからの声を元に新商品を開発し、それが大ヒットした事例は数え切れません。「私たちがブランドを作っているんだ」という誇りを持てた時、仕事は「やらされ仕事」から「自分事」へと変わります。この意識変革こそが、モチベーション管理のゴールと言えるでしょう。

SNS担当者の仕事を「雑用」だと捉えていると、長続きしません。しかし、視点を変えれば、これほど多岐にわたる専門スキルを一度に習得できる職種は他にないとも言えます。
Instagram運用を通して、担当者はマーケターであり、エディターであり、デザイナーであり、データアナリストになります。これらは全て、これからのAI時代においても重宝される「市場価値の高いスキル」です。
身につくスキルは「一生モノ」の資産
日々の運用業務が、自分自身のキャリアアップに直結していると認識できれば、辛い作業も「修行」や「学習」として前向きに捉えられるようになります。
具体的に、Instagram運用を通じてどのような能力が磨かれるのか、スキルマップとして整理してみましょう。
会社としても、担当者のスキルアップを支援するために、関連書籍の購入補助やセミナー参加の推奨などを行うべきです。「ここで働けば成長できる」という実感は、バーンアウトを防ぐ強力な防波堤となります。
最後に、個人のがんばりに依存しない「仕組み」の話をします。
どれほど優秀な担当者でも、人間である以上、病気になることもあれば、スランプに陥ることもあります。また、退職のリスクもゼロではありません。
「あの人がいないとインスタが動かない」という属人化は、組織にとって最大のリスクであり、担当者本人にとっても「休めない」という重圧になります。持続可能な運用のためには、チームで支え合う体制づくりが不可欠です。
「一人担当者」を絶対に作らない
もし現在、担当者が一人だけの状態なら、早急にサブ担当をつけるか、兼務でも良いので「アカウントにログインできる人」を増やしてください。そして、ペアで運用する体制を目指しましょう。
一人が投稿作成を担当し、もう一人がチェックする。あるいは、曜日ごとに担当を分ける。こうすることで、「相談できる相手がいる」という精神的な安定感が生まれます。孤独感こそがバーンアウトの元凶であることを忘れてはいけません。
マニュアル化で「休める環境」を作る
クリエイティブな業務ほど、マニュアル化を敬遠しがちですが、最低限のルールはドキュメントに残しておくべきです。
これらが明文化されていれば、メイン担当者が有給休暇を取っている間も、他のメンバーが代打で対応できます。「自分が休んでも大丈夫」と思える環境があって初めて、人は全力で走ることができるのです。
持続可能なチームへのチェックリスト
● 担当者が急に休んでも、1週間程度は運用が止まらないようストック投稿があるか
● 定期的なミーティングで、悩みや負担を吐き出す場が設けられているか
● 外部パートナー(制作会社やフリーランス)に一部業務を切り出す予算はあるか
● 目標(KPI)は、現状のリソースに見合った現実的なものになっているか
内製化とは、全てを社内で抱え込むことではありません。コアとなる「想い」や「企画」は社内で持ちつつ、手間のかかる制作作業は外注するなど、柔軟にリソースを組み合わせることも、賢いチーム運営の一つです。
■運用担当者が輝けば、アカウントも輝く
Instagramの内製化チームが成功するかどうか。その鍵は、アルゴリズムの攻略法でも、バズるテクニックでもなく、「担当者が心身ともに健康で、楽しんで発信できているか」にかかっています。
画面の向こうにいるユーザーは敏感です。担当者が疲弊し、嫌々更新しているアカウントからは、不思議とネガティブな空気が伝わってしまうものです。逆に、担当者が楽しみ、愛を持って商品を紹介しているアカウントは、自然と人々を惹きつけます。
もし今、あなたが運用に疲れ果てているなら、まずは一度立ち止まってください。そして、周りに助けを求めてください。上司の方は、担当者の「見えない努力」に光を当て、守ってあげてください。
「いいね」の数よりも大切なのは、運用する「人」の想いです。その想いが枯れない土壌を作ることこそが、最強のブランディングになるのです。
さあ、まずは今日、隣にいる担当者に(あるいは自分自身に)、「いつもお疲れ様、ありがとう」と声をかけることから始めてみませんか? その小さな一歩が、チームの空気を変え、結果としてアカウントを大きく成長させるきっかけになるはずです。
インスタ内製化チームの運営に関するよくある質問
A. まずは業務量を減らし、運用頻度を落とすことを許可してください。
原因の多くは「終わりのないプレッシャー」です。「毎日投稿をやめる」「ストーリーズはお休みする」など、ハードルを極端に下げて心理的安全性を確保することが最優先です。その上で、何が辛いのかを傾聴しましょう。
A. 「やらないこと」を決める勇気が必要です。
全ての機能を使いこなす必要はありません。リール動画などの工数が高いものは一旦捨てて、フィード投稿だけに絞る、あるいは写真は撮り溜めして予約投稿を活用するなど、限られた時間で最大の効果を出すための「選択と集中」を行いましょう。
A. フェーズによりますが、ハイブリッド型がおすすめです。
初期の立ち上げや戦略策定はプロ(コンサル)に頼り、日々の運用やユーザーとの対話は熱量のある社内スタッフが行うのが理想的です。単純作業だけを外注し、コア業務を内製化するという切り分けも効果的です。
A. 「自分たちでコントロールできる指標」をKPIに含めることです。
フォロワー増減などの結果指標だけでなく、「週に3回投稿する」「コメントには必ず返信する」といった行動指標を目標にすることで、達成感を得やすくなります。小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
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執筆者
小濵 季史
株式会社カプセル 代表
デザイン歴30年以上。全国誌のデザインからキャリアをスタートし、これまでに1,000件以上の企業・サービスのブランディングを手掛けてきました。長年の経験に裏打ちされたデザイン力を強みに、感性と数字をバランスよく取り入れたマーケティング設計を得意としています。
また、自らも20年以上にわたり経営を続けてきた経験から、経営者の視点に立った実践的なマーケティング支援を行っています。成果に直結する戦略構築に定評があり、多くの企業から信頼を寄せられています。
香川県出身で、無類のうどん好き。地域への愛着と人間味あふれる視点を大切にしながら、企業の成長を支えるパートナーであり続けます。