2025.11.06

担当者任せはもう終わり!インスタ内製化を成功に導く社内教育プラン

担当者任せはもう終わり!インスタ内製化を成功に導く社内教育プラン

 

「インスタの担当者が突然辞めてしまって、更新が完全にストップ…」「投稿は続けているけど、正直これが正解なのか誰も分からないまま、ただ続けているだけ…」

 

企業のInstagram(インスタ)運用において、こんな悲鳴にも似た悩みを抱えていませんか? 特定の誰かに依存し、属人化してしまったアカウントは、担当者の異動や退職という、会社にとってはごく当たり前の出来事一つで、これまで時間とコストをかけて積み上げてきた大切な資産をいとも簡単に失ってしまうのです。私自身、コンサルティングの現場で、引き継ぎがうまくいかず完全に放置されてしまった企業アカウントの“お墓”を、これまで何度も見てきました。本当に、これほどもったいない話はありません。

 

この根深い問題を根本から解決し、会社全体の「生きた資産」としてインスタを育てていくための唯一の方法。それこそが「内製化」です。しかし、ただ「今日からみんなでやろう!」と熱意だけで号令をかけるだけでは、残念ながらほぼ100%失敗します。成功への道のりを照らす唯一の光は、社員一人ひとりのスキルと意識を丁寧に底上げする、戦略的な「社内教育プラン」の存在にあるのです。

 

これから、SNSの基本的なリテラシー研修から、撮影・ライティングといった誰もがぶつかる実践的なスキルの壁、そして何よりも運用を「継続」させるための文化づくりまで、私が多くのクライアント企業で実際に導入し、失敗と成功を繰り返しながら磨き上げてきた教育プランの全てを、具体的にお話ししていきます。この記事を読み終える頃には、あなたの会社の内製化への道筋が、明確に見えているはずです。

 

1.SNSリテラシー向上のための初期研修内容

インスタ内製化プロジェクトという船出において、まず最初に行うべきは、乗組員全員の「目線合わせ」です。

驚くかもしれませんが、SNSに対する理解度や温度感は、同じ会社で働く仲間であっても、驚くほどバラバラなのが現実。「インスタって、若者がキラキラした写真を自慢する場所でしょ?」という認識のままでは、ビジネスという大海原へは到底漕ぎ出せません。

初期研修の目的は、専門的な運用スキルをいきなり叩き込むことではありません。まずは、企業の公式アカウントという船を動かす上で、最低限知っておくべき「航海の常識と海の怖さ」を全員で共有することです。これを怠ると、後で必ず大きな事故につながります。

 

具体的には、以下の内容を1時間半〜2時間程度の研修に盛り込みます。

 

【SNSの基本とビジネス活用の意義】

  • そもそも、なぜ多くの企業が時間とコストをかけてインスタに取り組むのか?
  • テレビCMやWeb広告といった、従来の広告媒体とは根本的に違う、インスタが持つユニークな価値とは何か?(顧客との「関係構築」という視点を共有します)
  • 自分たちが目指すべきゴールはどこなのか、改めて会社のビジネス目標とインスタ運用の目的を接続させます。

【炎上リスクとコンプライアンス】

  • これが最も重要です。たった一つの不適切な投稿が、会社の信頼をいかにして一瞬で海の底に沈めてしまうか。私が実際に見てきた、具体的な企業の炎上事例を、その原因から結末、そしてビジネスに与えた損害額まで含めて生々しく解説します。
  • 著作権(他人の写真や音楽を無断で使わない)、肖像権(お客様や通行人が写り込んだ写真を許可なく使わない)など、投稿前に必ずチェックすべき法律の基礎知識をクイズ形式で学びます。
  • 「これくらい大丈夫だろう」という個人の感覚が最も危険です。判断に迷った時に、誰に、どのように報告・連絡・相談するのか、そのフローを明確にルール化し、全員で声に出して確認します。

【ブランド人格(ペルソナ)の共有】

  • 私たちのアカウントは、一体「誰」なのか? どんな性格で、どんな口調で話すのか?というブランドの「中の人」のペルソナを定義します。
  • 例えば、「20代の女性に寄り添う、親しみやすいお姉さん」なのか、「専門的な知識を持つ、頼れるプロフェッショナル」なのか。このペルソナがブレると、投稿に一貫性がなくなり、ユーザーは混乱してしまいます。
  • このペルソナに合わせて、投稿で使うべき言葉遣い(タメ口はOKか?)、絵文字のトーン、返信の丁寧さレベルなどを具体的に定めた「トーン&マナーガイドライン」を共有します。

この初期研修は、マーケティング担当者だけでなく、投稿に登場する可能性のある社員や、承認者となる管理職まで、できるだけ多くの部署を巻き込んで参加してもらうのが理想です。会社全体で「SNSは遊びではなく、重要な経営課題である」という共通認識の土台を固めること。それが、安全で一貫性のあるアカウント運用のための、最も重要で、絶対に省略してはならない第一歩なのです。

※関連記事:中小企業に適したインスタ内製化の進め方

 

2.投稿作成と分析の実践トレーニング

SNSの常識という羅針盤を手に入れたら、次はいよいよ「船を漕ぐ力(投稿作成)」と「航路を確認する力(分析)」を養う実践トレーニングに移ります。ここでは、退屈な座学ではなく、実際に手を動かしながら学ぶワークショップ形式を取り入れるのが、スキル定着への最短ルートです。

 

ステップ1:お手本アカウントの「解剖」から始める

いきなり「さあ、投稿を作ってみよう!」と白紙の紙を渡しても、多くの人は途方に暮れてしまいます。そこで、まずはお手本となる競合や他業界の成功アカウントをいくつかスクリーンに映し出し、その投稿が「なぜ人の心を動かすのか」を全員で探偵のように分解・分析します。

  • 写真:どんな構図で撮られている? 光の使い方は? 全体的な色味は? なぜこの写真が一番目にあるんだろう?
  • 文章:最初の1行で、どうやって読者の心を掴んでいる? どんな言葉を選んでいる? ハッシュタグは何を、何個くらいつけている?
  • 提供価値:この投稿は、ユーザーにとってどんな価値(面白い、役に立つ、共感できる、癒される)を提供しているんだろう?

この「解剖」作業を通じて、参加者は良い投稿の「設計図」を具体的にインプットできます。「なんとなく良い」を「言語化できる」に変える、非常に重要なプロセスです。

 

ステップ2:グループで模擬投稿を作成し、プレゼンする

次に、インプットした「設計図」を参考に、3〜4人のグループに分かれて自社の模擬投稿を作成するワークを行います。お題は「来月発売する新商品を紹介する投稿を、今日の研修で学んだことを活かして作ってください」といった、具体的なものが良いでしょう。

このワークの肝は、完成度を求めることではありません。「完璧な投稿」を目指すのではなく、「どうすればユーザーに伝わるか?」「どうすれば心を動かせるか?」という視点で、メンバーと活発に意見をぶつけ合いながら一つの投稿を作り上げるプロセスそのものが、最高のトレーニングになります。最後に各グループが作った投稿を発表し、なぜその写真を選んだのか、なぜその言葉を使ったのかをプレゼンしてもらいましょう。

 

ステップ3:インサイトデータの「健康診断」を学ぶ

投稿を作って満足、では三流です。一流の運用チームは、必ず投稿後の「健康診断」、つまり振り返りを行います。インスタが無料で提供している「インサイト」機能の基本的な見方をレクチャーし、どの数字が何を意味するのかを理解してもらいます。

  • リーチ:投稿が何人の元に「配達」されたか。
  • いいね!:投稿に対して「良いね!」という軽い挨拶をくれた人の数。
  • コメント:わざわざ立ち止まって「会話」してくれた人の数。
  • 保存:「後でまた見返したい」と思ってくれた、最も熱量の高い反応。

 

最初は全ての数値を追う必要はありません。「特に 保存数 が多かった投稿は、ユーザーにとって本当に価値のある情報だった証拠だね」というように、特に重要な指標に絞って、自分たちの投稿がどう受け止められたかを客観的に見る癖をつけることが重要です。このデータ分析の習慣こそが、勘やセンスだけに頼らない、再現性のあるアカウント成長を実現させるのです。

 

 

 3.写真・動画撮影の社内講座開催方法

Instagramは、ビジュアルで会話するプラットフォームです。身も蓋もない言い方をすれば、写真や動画のクオリティが、アカウントの第一印象、ひいては会社のブランドイメージそのものを左右すると言っても過言ではありません。

 

「でも、うちの会社にプロのカメラマンなんていないし…」その気持ち、よく分かります。しかし、諦めるのはまだ早い。最近のスマートフォンのカメラ性能は、一昔前のデジタルカメラを遥かに凌駕しており、いくつかの「お作法」を学ぶだけで、素人でもプロと見紛うクオリティの写真を撮ることは十分に可能です。

 

社内講座を成功させるための秘訣は、仰々しい研修にしないことです。

 

1.講師は「身近な得意な人」が一番
外部から高額な費用を払ってプロの講師を呼ぶ必要は必ずしもありません。あなたの社内に、写真が趣味の社員や、プライベートのインスタがやたらお洒落な社員はいませんか? 私が支援したある企業では、経理部の物静かな女性が、実は素晴らしい腕前のカメラ好きだと判明し、彼女が講師を務めた講座が大変な盛り上がりを見せました。こうした「身近な先生」に講師をお願いすることで、参加者もリラックスして質問しやすく、和やかな雰囲気で講座を進められます。

テーマは「スマホで撮れる!今日から使える映え写真の基本」に絞る
F値やシャッタースピードといった、難しいカメラ理論は一切不要です。明日からすぐに使えて、効果が目に見える実践的なテクニックだけに、内容を徹底的に絞り込みましょう。

 

2.光を制する者は写真を制す:オフィスの窓際がいかに最強の撮影スタジオであるかを体感する。

構図の三原則:凡庸な写真が激変する魔法の線、「日の丸構図」「三分割法」「対角線構図」をグリッド線を使いながら学ぶ。

背景の魔法:主役を引き立てる最大の功労者は「背景」。スマホの「ポートレートモード」で、背景を美しくぼかす方法をマスターする。

編集のキホン:撮ったままはNG。Instagramの編集機能や、無料アプリでできる「明るさ」と「彩度」の簡単調整術を学ぶ。

 

3.座学1割、実践9割の「撮影ウォークラリー」
会議室で話を聞くだけでは、スキルは絶対に身につきません。講座の後半は、オフィスの中や会社の周辺で「お題」に沿った写真を撮り合う「撮影ウォークラリー」を実施するのが最高におすすめです。「会社のロゴが写っているエモい写真」「一番美味しそうに見える今日のランチ」「同僚の仕事中のカッコいい横顔」といったお題を出すことで、参加者はゲーム感覚で楽しみながら、学んだテクニックを身体で覚えることができます。

 

最後に、撮った写真をお互いに見せ合い、講師役の社員が「この写真の光の捉え方が素晴らしい!」「こっちは三分割法を意識するともっと良くなるね」と具体的にフィードバックを行う時間も設けましょう。この小さな成功体験と、仲間からの称賛が、「私にも撮れるかも!」というかけがえのない自信に繋がるのです。

 

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 4.文章力・表現力を高めるワークの例

美しい写真がユーザーの足を止めさせるとしたら、その心に深く語りかけ、ファンになってもらうための最後の決め手となるのが、投稿に添えられる文章(キャプション)です。商品のスペックや特徴をただ書き写したような、無機質な文章では、ユーザーの心は1ミリも動きません。アカウントの「個性」や「温かみ」は、この文章にこそ宿るのです。

文章力を高めるためのワークも、国語の授業のように堅苦しく行う必要はありません。楽しみながら「言葉の筋トレ」をするのが継続のコツです。

 

「もしもキャプション」ワークショップ】


まず、1枚の何気ない写真(例えば、オフィスの観葉植物)を全員に見せます。そして、「この写真に添えるキャプションを、3分で自由に考えてください!」と投げかけます。すると、同じ写真を見ているはずなのに、人によって全く違う物語が紡がれるから面白いのです。

 

  • Aさん:「新入社員の〇〇さんが毎日お水をあげている、うちの癒し担当パキラくんです🌱」→ ストーリーを語る
  • Bさん:「オフィスにグリーンがあると、煮詰まった頭がスッキリする気がします。皆さんのリフレッシュ方法はなんですか?」→ 共感を誘い、問いかける
  • Cさん:「【豆知識】パキラの花言葉は『快活』『勝利』。なんだか元気が出てきますね!」→ 役立つ情報を与える
    このワークを通じて、文章の切り口は一つではないこと、そして自分にはなかった表現方法があることに気づくことができます。

ハッシュタグ・ブレインストーミング


特定のお題(例:「#リモートワーク」)に対して、関連するハッシュタグを制限時間内にできるだけ多く書き出す、というシンプルなゲームです。

 

  • メジャーなタグ(#在宅勤務, #テレワーク)
  • 少しニッチなタグ(#おうちオフィス, #リモートワーク飯)
  • お悩み系のタグ(#リモートワークの課題, #運動不足解消したい)
    他の人がどんなタグを思いついたかを見るのも、新たな発見の連続です。この訓練を繰り返すことで、投稿内容に合った適切なハッシュタグを、瞬時に複数思い浮かべられるようになります。 

絵文字・顔文字使いこなし選手権


ビジネス文書では敬遠されがちな絵文字や顔文字も、インスタの世界ではユーザーとの心の距離を縮める、極めて重要なコミュニケーションツールです。同じ「ありがとうございます」という感謝の言葉でも、

 

  • 「ありがとうございます!」
  • 「ありがとうございます😊」
  • 「ありがとうございます🙇‍♀️✨」
    では、伝わる温度感や丁寧さが全く異なります。自社のブランドペルソナ(例えば「親しみやすいお姉さんキャラ」)なら、どの表現が最も相応しいかをみんなで議論するのも、非常に盛り上がるワークです。

 

これらのワークを通じて、文章は「正しく書く」こと以上に、「誰に、どんな気持ちになってほしくて書くのか」という、相手を想う想像力が何よりも大切だという感覚を養っていきます。

※関連記事:インスタ運用を外注から内製化に切り替える手順

 

5.定期フィードバックで運用を改善する方法

やりっぱなしの運用は、ただの自己満足。成長のない航海は、いつか必ず座礁します。内製化を成功させる上で、エンジンとも言えるほど重要な活動が、チームで行う定期的な振り返り(フィードバック)の場を設けることです。

 

理想は、週に1回、30分でも良いので、運用メンバーが必ず集まる定例ミーティングを開催することです。この場で、ただインサイトの数値を報告するだけでなく、以下の視点で建設的な対話を行います。感情的な「ダメ出し」を避け、チームを前進させるためのフレームワークが「KPT(ケプト)法」です。

 

1.Keep(良かったこと・続けるべきこと)

まず、ポジティブな話題から始めます。「先週の投稿で、特に保存数が高かった〇〇の投稿、素晴らしかったね!」と、成功を具体的に称賛します。

そして、「なぜ、あの投稿はうまくいったんだろう?」と成功の要因を深掘りします。「写真のシズル感が良かった」「キャプションの冒頭の一文が刺さった」「ハッシュタグの選び方が的確だった」など、具体的な理由を分析します。

良かった点は、再現性のある「勝ちパターン」として、チームのノウハウにしていきます。

 

2.Problem(課題・改善したいこと)

次に、「思ったより反応が伸び悩んだ投稿はどれだろう?」と、課題を特定します。

ここでの注意点は、絶対に個人を責めないこと。「誰が」ではなく「何が」問題だったのかを冷静に分析します。「ターゲット層には、この切り口は響かなかったのかもしれない」「情報量が多すぎて、分かりにくかったかな」というように、投稿そのものに焦点を当てます。

失敗は、責めるための材料ではなく、チームが次に成長するための貴重な「学び」と捉える文化が何よりも重要です。

 

3.Try(次に挑戦すること)

KeepとProblemの議論を踏まえて、「じゃあ、今週は何に挑戦してみようか?」と、未来に向けた具体的なアクションプランを決めます。

「〇〇の投稿が好評だったから、シリーズ化してみよう」「今度はリール動画の作成に挑戦してみない?」「ストーリーズの質問スタンプでフォロワーさんの声を聞いてみよう」など、具体的でワクワクするような挑戦目標を設定します。

私が以前支援したチームは、当初、振り返りの場が「犯人探し」のようになってしまい、雰囲気が最悪でした。しかし、このKPT法を導入し、ファシリテーターが「まずはKeepから話しましょう!」とルールを徹底したことで、驚くほど前向きで建設的な議論が生まれるようになったのです。フィードバックは、個人の責任を追及する場ではなく、チームとして賢くなるための貴重な機会である。この文化を育てることが、継続的な改善サイクルを生み出すのです。

 

 

6.社員の得意を活かす分担アイデア

「内製化」と聞くと、「担当者全員が、撮影も、文章作成も、分析も、全てできなければならない」と考えてしまうかもしれませんが、それは大きな誤解です。

むしろ、社員一人ひとりの隠れた「好き」や「得意」を見つけ出し、パズルのピースを組み合わせるように役割分担する方が、投稿のクオリティも、メンバーのモチベーションも格段に向上します。

 

イメージは、一つの雑誌を編集部で作るようなチームビルディングです。

 

【編集長(アカウント責任者)】

  • アカウント全体の「魂」を司る役割。ブランドの世界観やコンセプトを決定し、その舵取りを行います。
  • 投稿スケジュール全体の管理や、公開前の最終的な内容の承認など、クオリティコントロールの最後の砦となります。

 

【専属カメラマン(撮影担当)】

  • プライベートでカメラが趣味、食べ物の写真を撮るのがやたら上手い、といった社員が適任です。
  • 社内イベントや新商品、オフィスの日常風景などを積極的に撮影し、チームの投稿素材をストックする「素材バンク」の役割を担います。

 

【コピーライター(文章作成担当)】

  • 本を読むのが好き、文章を書くのが苦にならない、という社員にお願いしてみましょう。
  • カメラマンが撮ってきた写真や動画を元に、ブランドのペルソナに合った魅力的なキャプションや、投稿の価値を最大化するハッシュタグを考え抜きます。

 

【データアナリスト(分析担当)】

  • 数字を見たり、エクセルでグラフを作ったりするのが得意な、論理的思考の持ち主が向いています。
  • 毎週のインサイトデータを丹念にチェックし、定例会で「どの投稿が、なぜ伸びたのか」を分かりやすくチームに報告する、アカウントの「主治医」です。

 

【コミュニティマネージャー(コメント・DM返信担当)】

  • 人とコミュニケーションを取るのが好きで、丁寧な気配りができる社員が理想です。
  • フォロワーからの大切なコメントやDMに、ブランドの顔として、温かみのある言葉で迅速に返信する、最前線の顧客対応担当です。

もちろん、最初から完全に分業する必要はありません。

まずは全員で一通りの業務を経験した上で、「〇〇さんは写真のセンスが抜群だから、これからは撮影をメインでお願いできないかな?」といった形で、自然発生的に得意な役割に落ち着いていくのが理想的な流れです。

 

それぞれの得意分野で輝ける場所を用意することが、チームのポテンシャルを最大限に引き出すのです。

 

※関連記事:マーケティング視点で考えるインスタ内製化戦略

 

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7.勉強会とコンテンツ研究の仕組みづくり

Instagramのトレンドの移り変わりは、まるで高速で流れる川のようです。

昨日まで大流行していたリールのフォーマットが、今日にはもう誰も見向きもしない、なんてことは日常茶飯事。

 

この激しい変化の波に乗り遅れないためには、個人の頑張りに頼るのではなく、チーム全体で学び続ける「仕組み」を意図的に作ることが不可欠です。

 

  • 月1回の「トレンド共有会」という名の雑談会
    運用メンバーが持ち回りで、「最近、このアカウントの投稿が面白い!」「このリールの音源、めちゃくちゃ流行ってるらしいよ」「インスタの新しい機能、使ってみた?」といった、発見や気づきをカジュアルに発表し合う場を設けます。重要なのは、これを「義務」にしないこと。「面白いものを見せ合う雑談会」くらいの気軽さで始めるのが長続きのコツです。この雑談の中から、次のヒット企画の種が生まれます。 
  • インプット用の「アンテナ基地」を作る
    最新のマーケティング情報サイトや、人気インスタグラマーのアカウント、トレンドを分かりやすく解説してくれるメディアなどを、チームで使っているチャットツール(SlackやTeamsなど)に専門チャンネルを作り、そこで共有し合う文化を作ります。「こんな面白い記事あったよ!」とURLを一つ投げるだけで、チーム全体の情報感度が上がっていきます。 
  • 枯渇しない「ネタの泉」を共同で育てる
    Googleスプレッドシートなどで共有のドキュメントを用意し、メンバーが日々の業務の中で思いついた投稿のアイデアや、お客様から実際に寄せられた質問、季節のイベントなどを、いつでも書き込める「ネタ帳」を作成します。私のクライアントの中には、このネタ帳が100個以上のアイデアで埋まっているチームもあります。これにより、「投稿ネタが思いつかない…」という最も辛い状況を防ぎ、コンテンツのストックをチームの集合知で作っていくことができるのです。

こうした仕組みは、特定の誰かの個人的な努力やセンスに依存する体制から脱却し、チームとして学び、進化し続けるための土台となります。

 

忙しい業務の中でも、意識的にインプットとアイデア出しの時間を確保する。それがマンネリを防ぎ、アカウントを常に新鮮で魅力的な状態に保つ秘訣なのです。

 

※関連記事:誰でも始められるインスタ内製化の基本ガイド

 

8.内製化成功企業の事例共有と活用法

自分たちだけで試行錯誤を繰り返すことには、どうしても限界があります。そんな時、暗闇を照らす灯台のように、大きなヒントを与えてくれるのが、内製化に成功している他の企業の事例です。

 

ただし、ただ「あの会社のアカウントはすごいね」「お洒落だね」と表面を眺めているだけでは、一ミリも自社の成長には繋がりません。成功事例を自社の血肉に変えるためには、以下の3ステップで深く分析し、活用することが重要です。

 

1.「理想の未来」となるロールモデルを見つける
まずは、自分たちの業界や、ターゲット層が近い企業の中から、「半年後、一年後、こんなアカウントになっていたい」と思える、理想のロールモデルをいくつかピックアップします。ここで重要なのは、誰もが知る大企業だけでなく、キラリと光るセンスを持つ中小企業や、熱狂的なファンを持つ個人店のアカウントにも目を向けることです。そこにこそ、真似しやすいヒントが隠されています。

 

2.成功の「理由」を執念深く深掘りする
そのアカウントのどこが、なぜ人の心を惹きつけるのかを、チームで徹底的に議論し、言語化します。

どんな世界観(トーン&マナー)を、どんな写真や言葉で表現しているのか?

投稿の裏側から、どんな社員の表情や会社の温かみが透けて見えるか?

フォロワーからのコメントに対して、どんな丁寧でユニークなコミュニケーションを取っているか?
投稿のクオリティだけでなく、その裏側にある「運用思想」や「熱量」まで読み解こうとすることが、本質的な学びに繋がります。

 

3.「守破離」の精神で、できることから取り入れる
分析して見えてきた成功要因の中から、「これなら、今の自分たちでもすぐに真似できそうだ」というポイントを、具体的なアクションプランに落とし込みます。

 

:まずは、成功事例の「型」を忠実に真似てみる。「社員紹介の投稿フォーマットを、そっくりそのまま真似してみよう」

:慣れてきたら、その型を少しだけ自分たちらしく崩してみる。「社員紹介に、その人の『座右の銘』という項目を加えてみようか」

:最終的には、型から離れ、完全に自分たちオリジナルの表現を生み出す。

 

成功事例は、思考停止でコピーするためのものではありません。そこから自社のアカウントに取り入れられる普遍的なエッセンスを抽出し、自分たちらしくアレンジして実践していく。この「守破離」の考え方こそが、事例活用における最も重要な心構えなのです。

 

 

9.育成目標とチェックリストの作り方

社内教育を効果的に進め、メンバーの成長を加速させるためには、「何を」「いつまでに」「どのレベルまで」できるようになるのか、という具体的な育成目標と、その達成度を客観的に測るためのチェックリストが不可欠です。

 

これは、メンバーの成長を「見える化」し、日々の努力が報われている実感を持たせ、モチベーションを高く維持するための、いわば育成のロードマップです。

 

【育成目標の設定例(3ヶ月間のロードマップ)】

 

1ヶ月目:独り立ち準備期間(基本の習得)

  • SNSの炎上リスクを自分の言葉で説明でき、安全な投稿ができる。
  • インサイトの主要な5つの指標(リーチ、いいね、コメント、保存、フォロワー増減)の意味を、何も見ずに説明できる。
  • チームで定めた投稿ルールとトーン&マナーガイドラインに従って、一人で投稿作業(文章作成、ハッシュタグ選定、予約投稿)を完了できる。

 

2ヶ月目:改善サイクル実践期間(実践と改善)

  • 週1回の定例会で、インサイトデータを元に「この投稿は〇〇が理由で伸びた(伸びなかった)と思います」と、自分の意見を具体的に発言できる。
  • スマホを使い、「構図」「光」「背景ボケ」の3つを意識した写真を撮影できる。
  • お手本アカウントを参考に、複数のパターンのキャプション原案を作成し、提案できる。

 

3ヶ月目:チーム貢献期間(自走と貢献)

  • トレンドやインサイト分析に基づき、新しい投稿企画(例:リール動画シリーズ、インスタライブ)を一つ提案し、周囲を巻き込みながら実行できる。
  • フォロワーからの簡単なコメントや質問に、ガイドラインに沿って自分で判断し、返信できる。
  • 新しくチームに入ったメンバーに対して、基本的な操作方法を教えることができる。

 

成長を実感させるチェックリストの作成

これらの目標を、さらに具体的な行動レベルに分解したチェックリストを作成し、本人と上長(または教育担当者)で共有します。

 

例:「1ヶ月目:独り立ち準備期間」のチェックリスト

□ 炎上事例研修に参加し、学んだことをまとめたレポートを提出した

□ 著作権に関する確認事項5つを、何も見ずに言える

□ インサイトの「リーチ」と「保存」の違いを、後輩に説明できる

□ 先輩のチェックなしで、予約投稿を1件設定し、問題なく公開された

 

このチェックリストを、週に一度の1on1ミーティングなどで一緒に確認し合うことで、本人の現在地と次の課題が驚くほど明確になります。

育成は、根性論や感覚で進めるのではなく、具体的な目標と客観的な指標に基づいて行うことが、着実な成長へと繋がるのです。

 

 

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10.内製運用を継続させる社内文化の構築

これまで、様々な教育プランやテクニックについてお話してきましたが、最終的に内製化が成功するかどうかを決定づけるのは、小手先のテクニックではなく、それを支える土壌、つまり「社内文化」そのものです。この文化がなければ、どんなに素晴らしいプランも絵に描いた餅で終わってしまいます。

 

  • 失敗を許容し、挑戦を「ナイスチャレンジ!」と称賛する文化
    インスタ運用に、百発百中の「絶対の正解」など存在しません。常に仮説と検証、つまり試行錯誤の連続です。渾身の投稿が全く「いいね!」がつかないことだってあります。そんな時、「なんでこんな投稿したんだ!」と減点方式で責めるのか、それとも「結果は振るわなかったけど、新しいことに挑戦してくれてありがとう!この失敗から何を学べるか、一緒に考えよう」と加点方式で言えるのか。この違いが、メンバーの主体性と創造性を大きく左右します。 
  • 経営層の「待つ力」と本気のコミットメント
    インスタの成果は、漢方薬のようにじわじわと効いてくるものです。数ヶ月間、地道な努力を続けても、フォロワーがほとんど増えない「我慢の時期」も必ずあります。そんな時、経営層が短期的な成果だけを求めて「インスタは本当に意味があるのか?」と疑いの目を向けてしまえば、現場のメンバーの心は簡単に折れてしまいます。経営層がSNSの長期的な重要性を理解し、「すぐに結果が出なくても、これは未来への種まきだ」と信じて見守り、リソースを継続的に投資するという強いコミットメントを示すことが、現場にとって最大の心の支えになります。 
  • 「楽しむこと」が、最強の原動力であると知る文化
    結局のところ、運用している本人たちが心の底から楽しんでいなければ、その冷めた気持ちは画面を通してユーザーに必ず伝わってしまいます。社内のちょっとした面白い出来事、普段は見せない社員の意外な一面、自分たちの仕事へのこだわりや静かな情熱。そうした「生身の人間」の体温が感じられる投稿こそが、AIには決して真似できない、内製化ならではの最大の強みであり、魅力なのです。

 

※関連記事:社内で始めるインスタ運用の内製化ステップ

 

会社全体で運用する内製化を成功させるためには

 

インスタの内製化は、単なるマーケティング施策の枠を超えた、壮大なプロジェクトです。それは、社員一人ひとりが自社の魅力の「語り部」となり、部署の壁を越えてコミュニケーションを活性化させ、組織全体の体温を上げていく活動に他なりません。

この教育プランが、その挑戦への確かな一歩となることを、心から願っています。

 

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執筆者

株式会社カプセル 代表

デザイン歴30年以上。全国誌のデザインからキャリアをスタートし、これまでに1,000件以上の企業・サービスのブランディングを手掛けてきました。長年の経験に裏打ちされたデザイン力を強みに、感性と数字をバランスよく取り入れたマーケティング設計を得意としています。
また、自らも20年以上にわたり経営を続けてきた経験から、経営者の視点に立った実践的なマーケティング支援を行っています。成果に直結する戦略構築に定評があり、多くの企業から信頼を寄せられています。
香川県出身で、無類のうどん好き。地域への愛着と人間味あふれる視点を大切にしながら、企業の成長を支えるパートナーであり続けます。

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